収入減の不安に飲み込まれない
治療費を打ち切られても、必要な治療を中断すべきでないことはわかった。
しかし、そうは言っても入院してから仕事をしていないので、収入が大幅減。
職種によってはゼロになる。
苦しい・・・もう示談に応じてしまおうか、と思いかけているあなた。
休業損害を請求できることをご存知ないのですか?
実際にお金が入ってくるのは少し先になりますが、今しばらく踏ん張ることです。
休業損害の代表的な計算式
給与所得者 |
事故前3カ月の収入 ÷ 90 × 休業日数 |
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個人事業主 |
事故前年の所得税確定申告所得 ÷ 365 × 休業日数 |
家事従事者 |
賃金センサスの女子平均賃金1日分 × 休業日数 |
基本的に上記のような計算式を用いて休業損害を算定し、請求できます。
上の表の3番目、専業主婦も休業損害を請求できることに注目しましょう。
イレギュラーな場合については、下記のような各種の調整が行われます。
- 収入に年度ごとのばらつきがある場合は、過去数年の平均を使用する
- 季節変動の大きい商売では同時期の平均的な売上を使用する
- 兼業主婦の場合は、主婦以外の収入と比較し、大きい方の金額を使用する
とにかく、本来得られるはずだったのに、治療中の休業で得られなくなった収入は、後から取り戻せるのです。
後遺障害での収入減も別費目名で請求可能
「休業損害」というのは、治療中の休業の損害の話です。
一方、治療が終わっても完治せず、後遺障害が残った場合も、労働能力が低下して収入が減る損害が出ます。
これももちろん請求できますが、費目名は「休業損害」ではなく、「後遺障害逸失利益」です。
この損害は、その後の長い人生にわたる損害なので、大きな金額になる傾向があります。
後遺障害が残った場合は、「後遺障害逸失利益」がもらえるかどうかで人生が大きく変わるほどの違いが出ます。
しかし、後遺障害等級を取得できなければ、後遺障害が残ったとは認められず、したがって「後遺障害逸失利益」も請求できません。
手足の欠損のように外見で判断できない後遺障害、例えばむち打ちなどでは、医師の意見と治療の継続が等級認定の重要な判断材料になります。
治療の中断期間が長いと後遺障害等級を取得できない可能性が大きくなります。
治療費の内払いを打ち切られても、本当に症状があるなら決して治療を中断しないことです。